今回は京都の加工ファクトリーから誕生したオリジナルブランド『free rage』を紹介します。
トータルコーディネートが出来るほど、トップス、パンツ、雑貨まで手掛けているブランドですが、加工ファクトリーから誕生したという経緯からTシャツのプリント技法には目を見張る技術と拘りがあります。
まず使用しているTシャツに拘りが感じられます。
free rageのTシャツは綿糸を製造する工程で削り落とされるリサイクル綿を使用しています。
リサイクル綿はコンタミと呼ばれる葉ゴミや種カスなどが混在することがありますが、短い繊維もふんだんに含まれているため生地に自然なムラ感のある風合いが生まれます。
着用した時の肌触りの快適さと、洗濯するほどに膨らみを感じることが大きな特徴です。
この生地のおかげで、free rageが得意とするプリントやペイント加工がさらに味わい深い表情となり、唯一無二の風合いを生み出します。
そしてインク。
色は商品を表現するにあたり一番重要な部分です。
free rageでは何気ない色でも何種類もの色を混ぜ合わせて作ります。そうする事によって表面上だけのものではなく深みと奥行が出て経年変化したときの表情が全く異なります。
次に染。
自社ファクトリーがある京都では、昔から様々な染めの手法、技法が産み出され数多くの商品が世界に送りだされてきました。
そんな伝統ある町で、染めというモノに見せられた職人たち。
「同じものが2つと存在しない」手染めならではの、独特の風合いと表情が最大の特徴です。
絞り染め(Tie Dye)
Tie(縛る)Dye(染める)の名前の通り染料に浸けるときに生地を縛ることで生まれる味のある模様や色合いが魅力の手法です。
全て手作業で行うため同じものは2つとありません。
ろうけつ染
着物などの反物の染色によく見られる染め技法で、世界各国でも同様の染色方法が見られ、インドネシア、マレーシア、タイなどのバティック(Batik: 世界無形文化遺産にも登録されている伝統的な布製品)もこの技法を使用しています。
自社工場のアトリエコスモスでは、先代から続けてきたこの染め技術、技法を生かして現代的な要素をミックスさせ、商品に落とし込んでいます。
≪オリジナル ろう≫
いくつかの種類をブレンドし、独自に調合したオリジナルのろうを使用。
素材によって最終の見え方が変わるため、その都度、配合を変えています。
≪ろう押しステンシル≫
昔は渋紙を使用してろう押し作業を行っていたが現在、free rageではステンシルフィルムを使用。
※渋紙とは
はり重ねた和紙に柿渋を塗って乾かしたもの。
防寒・防水の衣類や部屋の敷物、荷物の包装などに用いられています。
≪脱ろう≫
ろう押し作業を終えた後、製品染めを施し、脱ろう作業へ何層にも塗り重ねたろうは、通常の洗い工程では落ち切らないため、何度も洗い工程を重ねて脱ろう作業を行い、付着したろうを完全に落とします。
≪全て異なった亀裂≫
仕上がりの亀裂は、ろうけつ染め最大の特徴の1つ。
染色前の段階で、手作業により1枚ずつろうを割っていくことで、亀裂部分にのみ染料が入り込み、奥深い独特の表情に仕上がります。
もちろん同じものは2つとありません。
次はプリント。
古着屋に並んでいる経年変化で良い感じになっているプリントのかすれ具合や剥がれ具合の何とも言えない風合いの魅力に惹かれ、それを自分たちの形として再現するため、日々研究や試験を重ねる職人たち。
京都で染色技術に触れてきた経験を生かした様々な加工技術を駆使し普通では気が付かないような細部にも拘ります。
ペイントもあります。
京都には手描きという文化が存在し、代表的なものが手描き友禅です。
そんな伝統的な文化が生まれた京都で育ち培った感性をモノ作りに反映し手描きという形で商品に落とし込めるよう量産体制を整えています。
どれだけ機械技術が発達しようとも、決して機械では表現できない温かみがあります。
最後にエアブラシ。
プリントでは表現できないディテールでエアブラシならではのムラ感や陰影を職人の指の感覚で色付けしていきます。
とても時間や手間のかかる作業ですが、一枚一枚丁寧に仕上げています。
繁忙期には職人の手が腱鞘炎になる程だそうです。
free rageデザイナー 松本 侑大 氏
『Lefty Art』デザイナーとしても活躍し、様々な企業やアーティストのイラストを手掛けたり、イベントのワークショップなどにも参加し、多岐に渡り活躍の場を広げているアーティストです。
機械では表現できない手描き独特のゆるーいタッチと色合いを大切にしたいという想いからイラストはペン、色鉛筆、絵の具などを使用し、全て手描きに拘って描き下ろしを行っています。
いかがでしたでしょうか。
プリントTシャツ1つとっても、こんなにも工程があり、洗練された技術、職人さんたちの思いと情熱があります。
ぜひ一度free rageのTシャツを着てみて下さい。